頭痛の症例を元にQ&A形式で情報を公開しています。

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今年、小学校に上がる6歳の息子が朝から毎週のようにお腹や頭が痛いといって吐いてしまいます。脳の異常ではないかと心配ですが?
小児科では周期性嘔吐症と呼ばれる状態ですが、片頭痛の一種と考えられており予防薬が有効です 。

 周期性嘔吐症は自家中毒とも呼ばれ、小児科ではポピュラーな疾患ですが最近、片頭痛治療薬の有効性が注目を浴びています。周期性嘔吐症はこれまで発作のたびに輸液や制吐剤投与などの対症療法を行う他に打つ手が無いと思われていましたが、欧米ではすでに片頭痛治療薬を投与する方法が確立し2004年の国際頭痛分類では、周期性嘔吐症が新たに頭痛を伴わない腹部症状のみの片頭痛として扱われるようになりました。

 周期性嘔吐症は、精神的ストレスや、風邪などの感染症に伴う食欲不振、睡眠不足などが引き金となり、反復性で強い嘔吐発作を繰り返す疾患です。5歳以上の小児の約2%に発症するといわれており、その多くは10歳ごろまでに症状が消失します。特徴として(1)嘔吐や悪心、腹痛。(2)夜間や早朝などに突然発症する発作性疾患で、発作の間欠期にはまったく正常。(3)過重なストレスの後に症状が現れる。(4)片頭痛の家族歴を持つ子が多く、本人も成人後に片頭痛に移行する確立が高い。という4点があげられます。腸の血管を拡張させ嘔吐や腹痛を引き起こす因子として、消化管粘膜に高濃度に存在する神経伝達物質セロトニンの関与が疑われており、成人の片頭痛の原因物質と共通です。

 日常生活に大きな支障を来すほどの周期性嘔吐症であれば、片頭痛の家族歴などを参考にしながら片頭痛予防薬のセロトニン拮抗薬を就寝前に連日服用することで良くなります。

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最近、有名人で脳梗塞などの脳卒中になる方が増えていますが予防することは出来ないのでしょうか?
脳卒中は発症するまで無症状のことが多く、ある日突然に麻痺や言語障害などが出現します。脳ドックで未然に発見することが可能です。

 脳卒中は、ある日突然に発病し多くの場合、後遺症として麻痺や言語障害などが残るとても重篤な病気で死に至る場合もあります。脳は修復が効きにくい臓器ですので、一度損傷されると後遺症は軽症から重症まで残り、完全復帰出来ることは少ないようです。つまり脳卒中は、発病してから治療すると手遅れになりやすいため、病気にならないうちに原因を発見することが大切です。脳ドックは一般の人間ドックには無い検診法でMRI(磁気共鳴断層撮影装置)、MRA、頚部内頚動脈エコーなどを駆使して脳卒中や認知症などを未然に発見できる最新鋭の検査法です。脳の疾患や動脈硬化などは40歳前後から出現することが多いため早期発見できると適切な治療を選択することで脳の障害を来さないように加療することが可能になります。半身麻痺になる脳梗塞をはじめ、とくに増加の傾向が見られる自覚症状の無い無症候性脳梗塞などはMRIで、働き盛りの方のクモ膜下出血はMRAで血管の瘤や狭窄を、頚部内頚動脈エコーでは脳梗塞の原因病変である頚動脈プラークを発見できます。とりわけ脳ドックをお勧めしたい方は、40才以上で高血圧、高コレステロール血症、糖尿病のある方です。当院では受診者の脳の血管を撮影し、ビデオテープに収めて差し上げており定期的に検査を受けられると、脳の変化が一目でわかるようになっています。ご自分の脳の健康状態を詳しく知るためにも「脳ドック」の検診が大切です。


図は頚部内頚動脈エコー。血管が詰まりかけており脳梗塞になる寸前の状態


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昨年より顔がピクピクして、目が開けにくくなりました。病院で顔面けいれんと診断され手術を勧められていますが、他に治療法は無いでしょうか?
顔面けいれんは顔の筋肉がけいれんする病気で美容的にも精神的にも障害を来します。手術以外にボトツクス注射による治療も有効です。

 顔面けいれんは突発性あるいは徐々に発症する片側の顔面筋のけいれんです。30〜40才前後で発症することが多く、顔の半分が勝手に緊張し大切な時にピクピクが強くなるのでとても困ります。ひどい時には目を開けられない程に顔が引きつります。目や口の周辺は小さな筋肉の集まりで、それぞれの動きで微妙な表情が作られています。顔面けいれんはこの表情筋が自分の意志に関係なくけいれんする病気ですので感情を伴う表情をコントロールすることが出来なくなってしまいます。顔はとても敏感なため、この変調は日常生活あるいは仕事に大きな支障をきたし、顔がキューと突っ張ってゆがんだ状態になると美容的にも精神的にもストレスが多大になります。通常、片側の顔に症状が表れますが、そのまま放っておくと次第に悪化していきます。顔面神経を脳の血管が圧迫している事が原因で、MRI(磁気共鳴断層装置)で診断可能です。
 二つの治療法があり、特に有効なものは最近開発されたボトツクス注射です。けいれんしている筋肉にボトツクスを注射することで3〜4ケ月の間、症状が改善します。年に3〜4回程度、この注射が出来れば、けいれんが起こらない状態になりますので日常生活に支障のある患者さんにはお勧めです。重症の場合は、顔面神経を圧迫している血管を剥がす手術を行います。他に脳腫瘍の初期症状として現れる顔のけいれんもありますので精密検査が必要です。




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昨年暮れに交通事故に遭い、その半年くらい後から右手がしびれ、力が入らなくなって因っています。手が冷たくなり汗がたくさん出ることもあり家事が出来ないこともありますが、脳の検査が必要でしょうか?
自動車事故後の中年女性に多い症状で胸郭出口症候群と思われます。脳に異常のある病気ではありません。

 胸郭出口症候群はむち打ち症などの後遺症として起こりやすく、手や首周りの痛み、後頭部痛などが次第に増強するため日常生活に支障あり、手が挙げられない程に痛いときは家事が困難になることがあります。外傷後、半年以上遅れて症状が出現することもある為、事故直後は無症状でも注意が必要です。なで肩やまる肩で小太りの中年女性に多く、頚部周辺の筋肉の発育が悪く頸椎に先天異常のあるヒトによく認められます。一方、男性では中高年、怒り肩、筋肉質、首の短い人が起こりやすくなります。この様な方は頚部周辺の筋力が弱く上肢を支配する神経である腕神経叢や血管が頸椎回りの組繊で圧迫され、腕神経叢が腕の重さに耐えかねて、胸郭出口部で引っ張られ、神経炎や血行障害が生ずるためと考えられています。

 治療は、まず日常生活動作に注意を要します。例えば腕を下げて行う作業や首の前屈みの不良姿勢で行う作業を出来るだけ避け、重たい物を持ち上げたりしないようにします。リハビリテーションとして温熱療法、ストレッチング、筋力強化の練習をしてもらい、更に装具療法として肩甲帯支持バンドを着用し腕神経叢の緊張を取り除きます。痛みの悪循環を改善するために非ステロイド系消炎剤、筋弛緩剤、ビタミンB製剤を服用し、自律神経症状に対しては抗不安剤を服用します。頑固な症例に対しては星状神経節ブロックなどの神経ブロック治療を行います。手術治療は先天奇形である頚肋の切除などを行いますが、自然軽快することも多いので対象となる症例はきわめて稀です。




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