27才のOLです。5日前の朝から突然頭痛がはじまりました。今まで頭痛とは無縁でしたがGW中に風邪を引いてから微熱が続いています。咳やクシャミをすると右側の小鼻あたりからこめかみに響いて痛かったり、物を拾うとして屈んだりするときなど激痛が起こります。何か脳の病気ではないでしょうか?
花粉症が一段落する6〜7月の今の季節は、治り損なった副鼻腔炎を原因とする頭痛の患者さんが多い時期です。鼻炎や副鼻腔炎の治療で治ると思われます。

 副鼻腔炎は耳鼻科の病気ですが、頭痛が激しくて治りにくい患者さんはクモ膜下出血などを心配されて脳神経外科を受診されます。耳や鼻の病気は脳に接しているだけに頭痛のもとになりやすいものです。
 副鼻腔炎による頭痛は青天の霹靂の如く現れ、時に頭痛のみで難聴、鼻が詰まるなどの耳鼻の症状が軽微な場合があります。この場合、耳鼻科的治療が遅れるため頭痛が急激に悪化し我慢できなくなって受診されます。目覚めたときに頭痛がし、体を前に傾けるとズキンズキンと激痛になります。飛行機の着陸時に決まって猛烈な頭痛が起こることもあります。頭痛の部位としては前頭部や顔面、目の奥に多く片頭痛や三叉神経痛に似ています。激しい頭痛の原因である副鼻腔炎はMRI検査で簡単に診断できます。
 治療は、急性発作時に抗生物質を用いて、安定した段階では穏やかな薬剤が使われます。軽症の場合は、粘液線毛機能改善剤、消炎酵素剤、抗アレルギー剤などの中からいくつかの薬を組み合わせて処方されます。治りにくい場合は少量のマクロライド系抗生物質を長期に投与するのが最近の主流となっています。薬物療法に適切な局所療法を組み合わせることで、ほとんどの症例は著しい効果を示します。慢性副鼻腔炎の急性増悪にはヤミックカテーテルを用いて副鼻腔内の貯留液を排液させる治療法が著効します。ヤミックカテーテルを用いると患者さんに負担が少なく、小児でも実施でき効果が優れています。

左図は重症の頭痛で受診された27才の女性のMRI検査。
右側の副鼻腔に広範な急性副鼻腔炎を認めます。
風邪を放置したために重症になりましたが抗生物質が著効し翌日には治りました。

戻る



23才のOLです。今の会社に就職してから頭痛が始まりました。初めのうちは イブが良く効いていましたが、最近は日に2〜3回飲んでも直ぐに頭痛が再発 し吐くこともあるので仕事を休みたくなります。脳に異常があるのでしょうか?
普通の片頭痛のようですが、クスリの飲み過ぎによるイブ頭痛も併発して いるようです。最近、発売されたイミグラン点鼻薬が有効と思われます。

 片頭痛は若い女性に多いのが特徴で発作は激烈で嘔吐を伴うこともしばしばで仕事や家事を中断せざるをえないこともあり多大な損失を被ります。患者さんの多くは専門の病院を受診することなく市販の頭痛薬を 頻回に不適切に服用するため、胃腸障害や体調不良を併発し頭痛が治りにくく悪循環に陥っています。イブやバファリンの飲み過ぎは過剰投与による反跳性頭痛、薬剤誘発性頭痛も出現することになり頭痛が治らない状態になります。片頭痛のお薬は主に予防薬と頓挫薬の2種類に分ける事が出 来ますがそれぞれ役割が全く異なります。ミグシス、ペリアクチンなど片頭痛の予防薬は2〜3ケ月服用すると片頭痛が消失します。改善した後も再発する場合は再度予防薬を追加して最善の状態に維持できます。
 ロキソニン、クリアミンなどの頓挫薬は片頭痛に付随して起こる嘔気を助長する結果、薬剤の効果が不安定です。いずれも長期投与により慢性連日性 頭痛の一因とされる薬剤誘発性頭痛を来しやすいため注意が必要です。
 1カ月に6回位までの発作であればタイムリーな片頭痛治療薬の頓挫薬トリプタンの使用にて対処可能です。最近発売されたトリプタン製剤のイミグラン点鼻液はこれまでのお薬が効きにくい患者さんに選択肢が増えQOL(生活の質)向上に貢献することが期待されます。イミグラン点鼻液は 飲み薬に比べ体内吸収率が大変良く、効果の発現も錠剤に比べて速く、注射剤と同等の有効性を示し嘔吐を伴う片頭痛の患者さんには最適の薬です。


戻る



最近、定年間際の父(59才)に物忘れが多くなってきました.同じ事を何度も言い、夜中に捜し物をしたり短気で怒りっぽくて困っています。 痴呆症ではないかと心配しています。
50〜60才前後で物忘れを繰り返す状態を軽度認知機能障害と呼んでおり、放っておくとアルツハイマー病に成りやすいと言われています。

 正常と痴呆の中間に位置し、痴呆の診断基準を満たさない患者さんを軽度認知機能障害(MCI)と呼んでい ます。日本や北欧などの長寿国に多く見られ、アルツハイマー病の臨床診断の精度が上がるに連れ早期診断の重要性が問い直されています。MCIが注目を集めるようになったのは、痴呆に効きやすいお薬(アリセプト)が広く使用され始めたここ5年ほど前からです。
 繰り返す物忘れはアルツハイマー病の初期段階として早期治療の最も重要なターゲットとの認識がなされています。MCIは本人や家族が物忘れを実感し日常生活には困らない程度の状態ですが、重要なことは5〜6年以内に8割程度の人がアルツハイマー病になってしまうことです。アルツハイマー病は65才頃までに発症しますのでMCIが60才前後に多いことと一致しています。
 MCIの早期診断には痴呆テスト、脳脊髄液のタ蛋白濃度測定、MRIによる側頭葉海馬の萎縮の度合い、スペクトによる後部帯状回における脳血流低下の異常を組み合わせることで可能です。
 アルツハイマー病になると有効な治療法が少ないためMCIの段階で治療に参加してもらうことが大切です。早期に診断が出来れば治療効果の期待されるアリセプトや約10年後に発売される予定の新薬を組み合わせて治り易くなることが想定されアルツハイマー病の激減する日も間近と考えられます。但しMCIの中には正常圧水頭症や多発性脳梗塞などの関連疾患も含まれていますので日頃の脳ドックなどでの正確な検診をお奨めします。

図は頭部MRIの冠状断撮影
左は正常、右は59才のアルツハイマー病の患者さんで
側頭葉海馬の萎縮が明瞭(赤丸の部分)

戻る



アツハイマー病の新薬が10年後に出ると聞きましたが、どのようなお薬でしょうか?
新薬としてはワクチンなど脳の老化防止薬が開発されています。

 アルツハイマー病は記銘力、判断力、計算力障害で始まり妄想や幻覚などの精神症状が 徐々に進行していきます。日本では65歳以上の7%が痴呆の症状を示し、そのうち約半数が アルツハイマー病といわれています。これまで根本的な予防・治療法がありませんでしたが 3年前に軽症の患者さん用に進行予防薬であるアリセプトが発売され、10年後には新たな 治療薬が完成する予定です。早ければ新薬である経口ワクチンの臨床試験が来年にも 始まることになります。
 アルツハイマー病の脳は進行と伴に萎縮して神経細胞内に神経原線維変化が起こり、 アミロイドの蓄積した老人斑が大脳皮質などに現れます。この老人斑が直接の原因と 考えられており、老人班により神経細胞死が起こるとされておリスペクトやMRI等で 診断出来ます。アルツハイマー病の治療法としては、老人斑に蓄積したアミロイドを ワクチンで除去する方法があり、非常に有効であることが分かってきました。
 イブプロフェンや塩化リチウムなどもアルツハイマー病の治療薬となる可能性もあり、 現在臨床治験が計画されています。多くの有効な薬が出揃う10年後にはアルツハイマー病は 激減する可能性があります。


上図はアルツハイマー病患者さんのスペクト画像

戻る

前のページへ】【次のページへ





〒816-0802 福岡県春日市春日原北町3丁目63番地 陣の内脳神経外科クリニック
TEL:(092)582-3232  脳ドック専用:0120-08-3222  E-mail:jnstj@jns.info