最近若いミュージシャンが小脳梗塞になって入院したと聞きましたがどのような原因で起こるのでしょうか?若い人に起こりやすいのですか?
小脳に起こる脳梗塞ですが、普通の脳梗塞と少し違うところがあります。

 男性に多く女性の2〜3倍,年齢はもともと高齢者に多い病気ですが、小脳の血管が詰まることが原因で心房細動や高血圧のある患者さんに多く発生します。最近若い人にも増加中ですが頚部マッサージや極端に強く頚部を横に向ける動作をするゴルファーや頚部外傷による外傷性椎骨動脈閉塞が増加しているからです.小脳の動脈の中で最も大きい後下小脳動脈の閉塞が多いといわれています。
 特徴的な症状はフラフラ感や頭痛、傾眠などの意識障害が出現します。
 躯幹失調(立位・歩行不能)のため椅子に坐ってもらうことができず嘔気、嘔吐、めまいがあるため横になってしまいメニエル病などと誤診されることもあります。
 MRIで確実に診断されますが血管の走行に一致した脳梗塞の部分が描出されます。図のMRI写真は右後下小脳動脈の脳塞栓の患者さんのMRIで右の小脳下面に脳梗塞の白い領域が明白に見えています。首のカイロプラクティック後に突然出現しています。脳血管撮影は、閉塞血管の同定および動脈硬化性変化をみるために有用です。
 軽症の場合は点滴治療などで治りますが、意識障害を伴うような重症の場合は早急に開頭手術を行い救命することもあります。脳神経外科の疾患のなかでも急を要する病気の代表選手です。


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痴呆症になりやすい病気に水頭症があるとのことですが、どんな病気ですか?
大人の水頭症は痴呆症状や歩行障害、尿失禁などがあるためアルツハイマー病などに間違われることがあります。

正常圧水頭症
脳の中の脳室が進行性に拡大して髄液が充満され脳全体の機能が低下する状態です。
 特徴的な症状は記憶障害,歩行不安定および尿失禁の3つです。午前中に調子悪く午後になると歩きやすいというように症状が動揺するのも特徴です。原因のはっきりしない特発性と原疾患が明らかな症候性水頭症とに区別されます。症候性の最も代表的な疾患はくも膜下出血と中脳水道狭窄症ですがシャント手術がよく効きます。
 歩行障害が最も早期にみられ,1ヶ月以内で物忘れや痴呆が現れます。知的活動性の障害は軽度ですが忘れっぽく不注意で自発性がなくなり会話,読書,趣味などに対する興味も薄くなり,何もせずボーとした状態が多くなります。尿失禁はトイレに行こうとしても間に合わないのが特徴です。
 症状だけで水頭症とアルツハイマー病との鑑別はほとんど不可能ですが、MRI検査で海馬と全脳の萎縮の有無が確認出来れば区別されます。図は患者さんのMRIですが脊髄空洞症に伴う症候性水頭症です。左が発症前、右二つは水頭症になった後の画像です。脳の委縮と無関係に脳室拡大があり,丸い前頭角および海馬回に萎縮のみられない側頭角の拡大で診断されます。
 手術は拡大した脳室とお腹をバイパスする脳室腹腔シャント術を行います。症候性水頭症に対するシャント手術の効果は抜群ですが、特発性の場合には効き目は不確実です。
水頭症は手術で治る可能性のある痴呆症の代表です。

67才女性の症候性水頭症で左が発症前、右の2枚は歩行障害と痴呆症が出た際の画像

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30代の男性です。最近、首や肩が痛くて片方の手までしびれフラフラするようになりました。内科に行ったら自律神経失調症と言われましたが脳の異常は考えられないのでしょうか?
首が痛くて手がしびれる場合は脳の異常よりも頸部椎間板ヘルニアなど頸椎の病気が最も考えられます。

頸部椎間板ヘルニア
 頚椎の椎間板の変形が原因となって椎間板や椎体が後方や側面に突出し脊髄や頸神経根などを圧迫して障害する状態を頸部椎間板ヘルニアと呼んでいます。頚椎は10kg以上もある重い頭を常日頃から支えており、かつ自由に動くため解剖学的に腰椎と似て加重に伴う変化が起こりやすい場所です。変形による骨軟骨性の飛び出しは脊髄を圧迫するため手足のしびれ・フラフラなど様々な神経障害を来します。
 重症の場合は椎間板摘出などの手術を行なうこともありますが軽症の場合、脊椎の自然治癒力を待って保存的療法を試みます。頸部のネックカラーによる安静固定、薬物療法、牽引などで改善する事が多いからです。

バレー・リュウ症候群
 頸椎の変形は、ときに頸部の動脈を圧迫し、めまいや失神などを来すことがあります。
重症の場合、倒れ発作を繰り返すため救急車で運ばれることもあります。頚椎の曲げ過ぎや急に振り返った際に起こり易く、また骨棘による椎骨動脈の圧迫は、椎骨動脈周囲の交感神経網を刺激し、頭痛・悪心・耳鳴・顔面の疼痛や発赤・咽頭の感覚異常などを来すことがあります。これら自律神経障害を含む多彩な症状を後頚部交感神経症候群またはバレー・リュウ症候群と呼びます。症状は首や肩に痛みが強く頸部の運動が極度に制限されることがあります。痛みが長引いて筋掌縮が続くと首まわりの血流が悪くなり筋肉痛や神経の刺激による疼痛(大後頭神経痛など)などを生じます。
 また、直腸膀胱障害による尿失禁が見られる場合もあります。診断にはMRI検査が特に有効で病変の重症度から自然治癒の可能性まで判断できます。


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55才の主婦です。最近、右手が震えて何度も転ぶので整形外科を受診したらパーキンソン病ではないかと言われました。どのような病気でしょうか?

パーキンソン病は片方の手が震えて動作が次第に緩慢になる病気で中年以降に始まると言われています。最近は新薬が良く効くので治りやすくなっています。

 症状はじっとしていると片方の手または足が小刻みに震えるといった振戦が特徴です。50〜60才以降の中年の男女にほぼ同率に発症し,徐々に進行する比較的多い疾患で、年齢とともに増加する傾向があります。動作が緩慢になりボタンの付けはずしや着衣に時間がかかり、字を書いていると少しずつ小さくなったり震えて書けなくなったりします。歩行時に前屈み姿勢になり小刻み歩行となるため、前のめりに転んで手や顔を怪我をし腰痛にもなり整形外科を受診されることも多いようです。進行すれば下の絵のような特徴的な姿勢に体が固まってしまいます。就寝中は寝返りが苦手になり寝苦しく、頻回に目が覚めるため不眠症になります。表情が乏しく能面のようになる仮面様顔貌、脂漏性顔貌も特徴的で急に老け込んでしまいます。便秘や発汗が増える自律神経の障害や足のむくみなども出現します。
 原因は脳幹部にある黒質の神経細胞から分泌されるドーパミンという物質が不足するために起こりますので、これを補うレボトパという薬や新薬のドーパミンアゴニストなどが著効します。昔は治りにくい病気の代表でしたが、最近は早期発見して軽症の内に治療を開始すれば、殆ど治すことが出来ます。


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