先日、親友がヘルペス脳炎という聞き慣れない病名で入院したのですが、どんな病気でしょうか?
単純ヘルペスウィルスによる脳炎で、重症になると命に関わる事もあります。
脳炎は日本脳炎が最も有名ですが最近減少傾向にあります。代わりにヘルペス脳炎が増加傾向にあります。
神経痛や疱疹皮膚炎で有名なヘルペスウィルスが脳内に入ると脳炎を起こし側頭葉と前頭葉、脳幹部などを破壊します。側頭葉が破壊されると失語や失認,健忘の症状が出現し更に両側の障害では視覚失認、性行動異常、性格変化に加え、手にしたものは何でも口に運んでしまうクリューバーブーシー症候群と呼ばれる病態が出現します。前頭葉の障害では自発性低下、記憶障害、判断力の低下などをきたします。
先日、当院に健忘を主訴に受診されたヘルペス脳炎の後遺症患者さんがおられました。知能はまったく正常ですが5分前に起こった事を全て忘れてしまいます。会社の管理職だった方で復職したものの仕事はなく、判断力は保たれていますが他の社員との間にトラブルが耐えない状態です。トラブルを起こした事自体を忘れていますので、また翌日同じ問題を繰り返すという本人にも会社にとっても気の毒な状態です。
ヘルペス脳炎は昔、死亡率の高い疾患でしたが、抗ウイルス剤の登場により20年前から亡くなる方が減少している反面、再燃性、遷延性の経過をたどる脳炎が問題になっています。ヘルペスウィルス感染によって脳に生じる遅発性のアレルギー反応がこれに相当しますが、何度も脳炎の症状を繰り返して治りにくいため特殊な治療が必要です。
ヘルペス脳炎は一般に急性の経過をとり、初発症状は頭痛と発熱、項部痛などで風邪の症状にも似ています。普通の風邪と思って朝、出勤すると、やがてうつらうつらするといった意識障害があり、そして昼過ぎ頃に突然のけいれんや片側の麻痺が出現し、病院に運びこまれるというのが典型的なパターンです。こうした症状は通常1〜2日ですべて出揃いますので脳炎の迅速な診断と早期の治療が大切になります。診断は典型的な症状と血清検査、治療は出来るだけ早期で充分量の抗ウィルス剤投与を行います。
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脳梗塞の治療に手術がある事をテレビで知りましたが、詳しく教えて下さい。
脳梗塞の治療法に手術がありますが、頸部と脳内の手術の2つがあり、それぞれ直接と血管内の手術が行われます。
脳内の血管が詰まる事により麻痺や言語障害などの起こる脳梗塞の原因は、脳内の血管異常と頸部や心臓など脳以外の異常の2つに大別されます。近年日本では食生活の欧米化などを背景に頚動脈の病気である頸部内頚動脈狭窄症が増加しています。頚動脈狭窄症は高血圧や高コレステロール血症などの合併症を原因として血管の内側が粥状に変化し頚動脈分岐部を中心に潰瘍や狭窄を生じます。その結果、脳血流低下や塞栓を生じて脳梗塞を発症します。治療としては軽症の場合はプレタールなどの抗血小板薬やクレストールを中心とした低コレステロール療法、降圧剤を用いた総括的な内科治療を行い、重症の場合は頚動脈内膜剥離術(CEA)や血管吻合術、ステント装着などの外科治療などが行われます。
CEAは頸部の血管を切開して内部の粥状硬化部分を切除し狭窄のない正常な血管腔を形成する熟練を要する手術です。この手術は米国では年間13万例以上実施されており、1990年代から大規模臨床試験が行われ有用性が確立されています。狭窄度60%以上の場合、薬物治療よりCEAの方が予後良好とされています。ステントは下肢の血管内から細い頸部用のチューブを挿入して頸部の血管まで通し、内側から特殊な金属などで補強して狭窄のない状態を形成する血管内の手術で、最新の設備と高度なテクニックを要求されます。広汎な狭窄や閉塞の場合は前の2つが応用できないため、頭部と頸部を同時に切開してバイパスする血管吻合術も行われますが手術野の広い大手術になります。CEAなどの外科的治療はあくまで血管局所に対する治療であり高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、生活習慣などをコントロールして予後の改善を図ることも大切です。
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32才の専業主婦です。二人目の子供が欲しいのですが、長女の出産前後に頭痛がひどくて、つらい思いをしました。妊娠時の片頭痛治療法を教えてください。
妊娠前後や子育て中の頭痛は工夫により改善することができますので頭痛外来を受診してください。
片頭痛が女性に多いのは女性ホルモンや遺伝子の関係とされていますが、痛みの感受性が男性より高いこともあり、月経周期によって変化するホルモンやライフステージとの関係を正しく理解することが頭痛治療の第一歩になります。
片頭痛は一般的に初潮と同時に発症し、月経の2日前から月経後3日目までに出現しやすく、妊娠時は6ヶ月目まで持続し分娩後に再燃します。月経前後の頭痛は仕事や家事を休む人が半数近くおられ、いつも休む人は14%、休みたくても我慢して仕事する人が31%で90%以上の方が日常生活に何らかの支障を感じていますが、病院で専用の治療を受けている方は殆どおられません。
片頭痛は妊娠可能な年齢に好発するため、病院では常に妊娠の可能性を確認することが必要ですが、エルゴタミンは妊婦への投与は禁忌です。イブプロフェンは軽度のリスクですが、アセトアミノフェンは更に安全です。妊娠が分かれば原則的に予防薬や治療薬は使用せず安静、冷却、マッサージなどの非薬物療法がお勧めです。トリプタン製剤の妊婦の服用は催奇形性や先天性欠損など非投与群と有意差無く、妊娠が分からない段階での突発的な使用に関しては特に危険性はないと報告されています。授乳に関してエルゴタミンは禁忌ですが、トリプタン製剤は注意して投与できます。実際、授乳婦にイミグランを投与して8時間後には乳汁中濃度が極めて低かったとの報告もあり使用後12時間をあけると安全です。
片頭痛患者の随伴症状として頭痛前後の肩こりや首の痛みがあり、誘発因子として月経、寝不足、天候、人混み、臭いなどがあります。特に細首、なで肩といった骨格筋肉系の障害が多く、職場でのパソコン使用や育児、家事に追われてエクササイズやリラクゼーションに時間をとりにくい忙しい女性特有の生活環境改善が必要です。
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