昨年、定年退職した61才の父が、ときどき記憶が飛ぶようになりました.病院でMCIと言われましたがアルツハイマー病とは異なるのでしょうか?
50〜60才前後で物忘れを繰り返す状態をMCIと呼んでおり、放っておくとアルツハイマー病になりやすい状態です。

 繰り返す記憶障害や物忘れはアルツハイマー病の初期段階として早期治療の最も重要なターゲットとの認識がなされています。正常と認知症の中間に位置し、認知症の診断基準を満たさない患者さんを軽度認知機能障害(MCI:mild cognitive impairment)と呼んでいます。日本や北欧などの長寿国に多く見られ、アルツハイマー病の臨床診断の精度が上がるにつれて早期診断の重要性が問い直されています。MCIが注目を集めるようになったのは、認知症に効きやすい薬(アリセプト)が広く使用され始めた7年ほど前からです。
 MCIは本人や家族が物忘れを実感するものの日常生活には支障ない状態ですが、重要なことは5〜6年以内に8割程度の人がアルツハイマー病になってしまうことです。アルツハイマー病は65才頃までに発症しますのでMCIが60才前後に多いことと一致しています。
 MCIの診断には認知症テスト、脳脊髄液のタウ蛋白濃度測定、MRIによる側頭葉海馬の萎縮の度合い、スペクトによる帯状回における脳血流低下の異常を組み合わせることで可能です。
 アルツハイマー病は進行期になると有効な治療法が少ないためMCIの段階で治療を開始することが大切です。早期に診断が出来れば治療効果の期待されるアリセプトや約7年後に発売予定の新薬と組み合わせることで予後の改善が期待されアルツハイマー病の激減する日もそう遠くはないでしょう。但しMCIの中には正常圧水頭症や多発性脳梗塞などの疾患も含まれていますので脳ドックなどでの早期の正確な検診をお奨めします。



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75歳以上の5人に1人がアルツハイマー病であると聞きました。アルツハイマー病の早期発見や予防はできるのでしょうか?
日常の生活を変更することでアルツハイマー病は予防することが可能です。専門外来を受診してください。

 アルツハイマー病の初期では物忘れなどの記銘力障書や日時や場所などの見当識障害がみられることが特徴で、この前の段階を軽度認知障害(MCI)と呼んでいます。
 MCIの段階では物忘れを中心とした記憶障害のみ起こるのが特徴です。MCIの記憶障害の特徴は中間期記憶、出来事記憶の障害です。数分から数時間前の記憶を中間記憶といいますが、その中間記憶が障害されると、ちょっと前に言ったことを忘れたり、何度も同じことを言い、しょっちゅう探し物をするようになります。またアルツハイマー病の本態は、脳組織に老人斑ができ、神経細胞が変性脱落消失して、その結果、記憶細胞やネットワークが破壊されるため認知症が起こっています。最初は記憶の中枢である側頭葉の海馬という場所から、このような変化が起こり、次第に脳の全体へと波及していきます。
 この海馬の障害は精神的なストレスや酸素不足により進行しやすい関係があることが報告されています。精神や心のストレスは、脳の神経細胞の障害を起こしやすく神経細胞死や脱落を来しやすいために、認知症を発症するのに十分な準備段階となり、MCIやアルツハイマー病が発症するというものです。従って予防にはストレス社会といわれる現代の環境のなかで過度で長期に続くストレスにさらされない日ごろの生活習慣への変更する事が重要と考えられます。また同時に生きがいのある、社会に貢献できる仕事を継続して生涯現役でいようという気概を持ち続けることも重要な予防法であるといえます。また高血圧や高脂血症あるいは糖尿病などがアルツハイマー病の促進因子と認識されるようになりました。
 認知症予防のための食生活などの目標として体脂肪を減らし、規則正しい食生活をし、適度な有酸素運動を日課にするなどの工夫が必要です。



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うちの5才の娘が、最近頭が痛いといって不機嫌になることがあります。子供の頭痛は脳神経外科で診ていただけますか?
子供にも大人と同じような片頭痛があり適切な治療で治りますので脳神経外科や頭痛外来を受診してください。

 子供の頭痛は3〜10才頃に起こる幼児期の頭痛と10才過ぎに出現する小児期の頭痛の二つのタイプがあります。どちらも片頭痛ですが治療法が異なります。子供の片頭痛は大人と異なり平日に起こることが多く、急に始まり持続は短く、嘔気や嘔吐などの消化器症状が強いのが特徴です。早い子では幼稚園くらいから起こり始め、乗り物酔いをしやすくアレルギー性疾患や低血圧のある傾向があります。片頭痛は誘因や増悪因子を避ける事で予防する事が出来ます。生活因子、不安やストレス、寝過ぎや睡眠不足、空腹や低血糖、チョコレートやチーズなどの食品、人混みなど換気の悪い場所、テレビゲームなどの強い光や音、強烈なにおい、気候気温の変化などが誘因になります。
 頭痛が起こっている時は音や光に過敏になり、身体を動かすとよけいに悪化しますので明かりを消し、カーテンを引いた暗めの部屋で安静にさせてください。また頭痛が起こりそうな時に血行がよくなる労作をすると発作を促進するため、入浴や体育の授業は無理にさせない方が良いでしょう。
 脳の成長課程にある小児期の片頭痛は頻繁に起こる場合には難治性になり精神的な負い目になることもありますので予防薬で2〜3ヶ月治療し改善を期します。他に鼻炎や嘔気などの消化器症状が強い場合、予防薬に加えてこれらの症状にあわせた治療薬を併用する事で頻度が減り頭痛が改善します。それでも頭痛が起こる場合にはトリプタン製剤を使用します。トリプタン製剤は通常のクスリと異なり片頭痛のみに効果のある薬ですが頭痛が起こり始めてから30分以内に内服すると良好な効果が得られますので我慢しないで早めに内服するのが大切です。幼児期の頭痛はストレスや熱発などで出現するため単発の頭痛薬で改善することが多く予防薬は通常不要です。学校で頭痛が起こった時のために担任や養護の先生に頭痛の特徴や発作時の対処法について説明し、いざと言うときに協力がえられるようにしておくと便利です。

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当家の家族は皆、太っており脳卒中の家系です。太りやすい遺伝子があると聞きましたが、それは本当ですか?
消費エネルギーを節約する働きをする「倹約遺伝子」が存在し肥満の原因となっていますが、日常生活を改善して肥満をコントロールすることも可能です。

 倹約遺伝子には何種類もありますが、今回は日本人の3〜4人に1人の割合で保有しているといわれているβ3アドレナリン受容体変異タイプをご紹介します。このタイプは内臓に脂肪がつきやすいという特徴があり、この遺伝子にスイッチが入ると、基礎代謝が200Kcal低くなります。
 基礎代謝とは何もしないでじっと寝ていても心臓を動かし、呼吸、体温を保つなど生命維持に最低限必要なエネルギーのことです。平均的な基礎代謝の目安は1日に男性1500Kcal、女性1200Kcalです。基礎代謝が低い人は高い人に比べ消費するエネルギー量が少ないので太りやすいといえます。
 たかだか200Kcal低くなるだけとバカにしてはいけません。脂肪1kgは7,000Kcalの熱量を持っていますから、もし毎日200Kcalが消費されずに余ってしまうと35日で1kgの体脂肪がついてしまうことになります。怖いですね。では遺伝子を持っていると、もうどうしようもないのかというと、そうでもないのです。遺伝子を保有していてもその遺伝子にスイッチが入らないこともあるのです。遺伝と環境は3対7で影響を及ぼすと言われており、環境因子の方が影響が大きい、つまり遺伝子よりも生活習慣のほうが影響力が大きいのです。まずは、基礎代謝を高めるために適度な筋肉をつけましょう。食事では低脂肪高たんぱく質の食事(大豆・大豆製品・脂身の少ない肉や魚)を中心にとり、腹筋やお尻、太ももなどの大きな筋群の筋力トレーニングを行いダイエットを実行しましょう。



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