頭痛の症例を元にQ&A形式で情報を公開しています。

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32歳の主婦です。1年ほど前から性行為後に激しい頭痛が起こり半日以上続きます。鎮痛薬が効かないため、横になって我慢していますが、治療法は無いでしょうか?
良性性交時頭痛に相当しますが、予防的治療で改善しますので、頭痛外来を受診してください。

 性行為に伴う頭痛は、性的興奮時や性交後に頭部の両側性に出現し、オルガズムで急に強くなる、などの特徴があります。次の3つタイプ鈍痛型タイプ(性的興奮によって増強される頭、頚部の鈍い痛み=緊張型頭痛に類似)激痛型タイプ(オルガズムの時に突発する爆発性頭痛‥労作性片頭痛に類似)体位型タイプ(性行為の体位由来、体位変換時の頭痛=低髄圧症候群に類似)に分類されます。詳細は頭痛のタイプにより異なりますが、年齢30〜60歳に好発し、男女比は3対1で男性に多く、オルガズムの際には脈拍数が110〜180、血圧は20〜80%程度上昇しています。ピークはオルガズム時であり約20秒から2分で戻ります。この急激な血圧上昇による脳血管の機能障害が主要な原因であり、一般的には脳動脈瘤などの頭蓋内疾患は認められません。また、褐色細胞腫の患者さんに出現しやすい強度の頭重感とも類似しておリアドレナリンの異常放出と関係していることが推測されています。従って、オルガズム前に性行為を中断することで頭痛を軽減することが出来ます。薬物治療としては性行為前にエルゴタミンを予防的に服用し、発作時は鎮痛剤坐薬などが有効です。但しオルガズム後の強度の頭痛発作時は頭蓋内脳動脈の異常な狭窄と拡張が起こっており、頭痛が長引いて治りにくい場合は、くも膜下出血や脳内出血などの鑑別が必要になります。




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40代の男性会社員です。最近、飛行機に乗るたびに激しい頭痛が起こり鎮痛剤が効かずに困っています。どのような治療をすれば良いでしょうか?
飛行機頭痛と呼ばれる状態ですが、予防的治療が有効ですので頭痛外来を受診して下さい。

 航空機内で起こる急病としては意識障害や痙攣発作、頭痛などがあります。
機内での頭痛は気圧の変化に伴う片頭痛、あるいはアレルギー性鼻炎による真空頭痛などがあります。あまりにも激しい頭痛のためクモ膜下出血などを心配されて脳神経外科を受診されます。MRIなどで診断可能で、主に着陸時に転げ回るほどの激しい頭痛が前頭部や目の奥などに出現し、薬が効きにくいのが特徴です。真空頭痛では副鼻腔の自然孔が閉塞していて、空気の逃げ道が無いため、気圧の影響を受けやすくなります。つまり副鼻腔内が離陸後、上空で減圧された状態から着陸時には加圧され急激に陽圧状態になることで三叉神経関連の突発性頭痛がおこるのです。
 三叉神経は頭痛の主要な担い手で前額部や目の周囲(第1枝)鼻や頬(第2枝)後頭部(第3枝)に枝を伸ばし痛みを敏感に伝える働きがあります。
 脳に近接した副鼻腔の粘膜には三叉神経が密に分布しており、アレルギー性鼻炎があると、気圧変化などにより圧迫あるいは牽引されると痛みを瞬時に引き起こします。副鼻腔炎の中でも特に前頭部や頬周辺に起こったものは袋状になりやすく頭を下げるなどの日常動作の中でも痛みが激しくなることがあります。
 自然孔の閉塞は抗生物質、粘液線毛機能改善剤、消炎酵素剤、抗アレルギー薬、加湿などを組み合わせて治療できます。機内で痛み出してからでは治らないので搭乗1週間前からの予防的治療と搭乗30分前に鎮痛剤を内服しておくと効果的です。



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病院にて片頭痛と診断されトリプタン製剤が処方されましたが、時々効かないこともありスッキリしません。手や顔もしびれることがありますが、どうしてでしょうか?
片頭痛にアロディニアという状態が合併しているようです。頭痛外来を受診してください。

 片頭痛の発作中は髪をとかしたり、眼鏡をかけたりするのもつらいという方がおられ、顔の表面がピリピリしたり、片方の手がしびれるといった症状が現れることもあります。この現象はアロディニアと呼ばれていますが、普通なら何でもないような刺激でも痛みを感じてしまう皮膚感覚を中心とした全身の過敏状態の事です。アロディニアが存在すると片頭痛薬の効果が不安定で効かないこともしばしばあります。トリプタンはなるべく頭痛の初期に服用する『先取り鎮痛』が大切ですが、アロディニアが無い場合は93%も有効なのに対し、これが有ると25%しか効かなくなります。また、月経時の片頭痛はアロディニアと同様に通常の片頭痛に比べて持続時間が長く、治療後も再発しやすく、かつトリプタンが効きにくいといわれています。
 片頭痛時には悪心・嘔吐のために胃内容物の停滞がおこり、経口薬の吸収が遅延されます。また頭痛薬を3ヶ月以上にわたり月に10日以上使用すると薬物乱用頭痛が起こりやすくなるため、胃薬や片頭痛予防薬の追加などの工夫も必要になります。
 最近の研究からストレスが免疫と密接に関連し、痛みというストレスによって免疫の機能が抑制され、ひいては悪性新生物の発生や増悪などを来す可能性などが指摘されています。従って不必要な痛みを取ることは、生活の質、いわゆるQOLの立場のみでなく生体の防御など免疫機能の面からも非常に大切であり頭痛治療を積極的に行うことが健康への第一歩と言えます。




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40代のシステムエンジニアです。4〜5年前から後ろ頭を中心にハチマキ状に締め付けられる頭痛が毎日のように仕事中に起こります。休日にテニスをすると治りますが、毎週月曜日は仕事に行くのが優鬱です。
緊張型頭痛と思われますが、予防治療薬、頭痛体操、鍼灸療法など有効な治療法がありますので頭痛外来を受診してください。

 後頭部から首筋が強く締め付けられるような頭痛は緊張型頭痛と呼ばれ、孫悟空の頭の金輪(緊箍児、きんこじ)に例えられます。当院を受診される患者さんの中では、最も多い病気のひとつですが、昔は筋収縮性頭痛と呼ばれていました。頭や首の周囲の筋肉の緊張や収縮による痛みであり、両側性で圧迫感または締め付け感、強さは軽度から中等度、歩行や階段の昇降のような日常的な動作により悪化せず、吐き気がなく肩こりを伴い、首を急に回したりときに一瞬フワッーとする様なめまい感を伴うなどの特徴があります。広範な後頭部の痛みは、時に頭全体におよび、毎日持続することもあり、時間によって痛みの程度に大きな変化は認められません。原因として頚部椎間板の変形など形態的異常、なで肩、首の筋肉の弱さ、精神的不安定などによって筋肉の緊張も出現し頭痛となりますが、日常に支障を来す頭痛が頻繁に起こる場合は片頭痛の合併も考えられ頭痛外来での治療が必要になります。
 システムエンジニアなどデスクワークの方に多い病気ですが、頭痛を引き起こすテクノストレス、社会心理的ストレス,運動不足、うつむき姿勢などの悪い因子が揃っていると起こりやすくなります。時に口・顎部の顎関節症などの機能異常を来すこともあります。
 鎮痛剤など乱用されている事も多く、薬物を含め予防的な治療が必要になりますが、非薬物療法では頭痛体操などの運動療法、鍼灸、ボツリヌス注射などがあります。特に頭痛体操が有効で頭痛外来で指導を受ける事をお勧めします。個々の症状に合わせた治療の選択が可能です。




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