頭痛の症例を元にQ&A形式で情報を公開しています。

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32歳の主婦で20歳頃から片頭痛で悩んでいます。最近、物忘れがひどく、血圧もコレステロールも低いのですが病院では脳梗塞と診断され心配しています。
脳梗塞の人は頭痛が起こりやすいことが昔から知られていますが、片頭痛は予防して治すことが大切です。

片頭痛は進行性の疾患

 少し専門的なお話ですが昨年(2003年)、オランダのライデン大学で行われた研究で片頭痛のタイプによっては脳に病変が出現する事が確認されました。内容は片頭痛が発作性疾患ではなく、慢性発作性の進行性疾患で予防や治療を行わないで放置すると脳梗塞などの病気になりやすいと言う結論です。

片頭痛を放置すると脳梗塞が増加

 片頭痛のなかでも発作が月に1〜2回以上と頻繁に起こり、しかも閃輝暗点などの前兆を認める人は頭痛の無い人と比べ、後頭部に脳梗塞の出現する頻度が約16倍高かったということです。更に片頭痛を有する女性は深部白質病変を呈する頻度も2倍高く、その頻度は発作回数が多いほど上昇しています。最もリスクが高かったのは1か月に1回以上の発作を起こす人で、3倍上昇していました。

 女性に限定すると前兆の有無を問わず片頭痛患者は深部白質病変が増加しており、虚血性脳血管障害になリやすい従来の心血管系の危険因子(高血圧や高脂血症など)による影響を受けませんでした。発作性頭痛のある人の3%が年間180日以上にわたり頭痛を訴える慢性頭痛や物忘れに進行することも明らかにされ、片頭痛自体が慢性頭痛に至る危険因子と考えられ、新たな治療法で対処すべきと考えられます。片頭痛の脳病変が臨床的に有意に相関するのであれば、危険因子の調整、予防的治療、急性期治療薬の選択など、疾患の進行を予防するための新しい治療計画が必要となります。



32歳女性の片頭痛患音さんに見られた後頭葉の脳梗塞(MRI)

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病院でもらった薬を飲みすぎると片頭痛が治らなくなると新聞に書いてありましたが、どういう事でしょうか?
片頭痛は通常、月に6同程度までの発作を言いますが、これ以上頻繁に頭痛が出現する方は薬物中毒などの可能性もあるため専門医での治療をおすすめします。

 毎月6回以上の頭痛があって治りにくい慢性的な頭痛の患者さんの症状は、びまん性・拍動性で、片頭痛特有の随伴症状が無いことが特徴です。特に1ケ月に15日以上の慢性連日性頭痛の患者さんは薬物中毒や日常生活上に問題があり、頭痛専門医による治療が必要です。無力症、悪心、そわそわ、易刺激性、記憶障害、集中困難、うつ、快感消失、自律神経障害などをともない、正常の日常生活は困難になります。病院で処方される頓服薬を頻繁に服用するとアルコール中毒と同じように、頭痛薬が頭痛を生む薬物中毒の悪循環に陥ります。薬物を摂取したいという強い欲求または切迫感、あるいは止めると離脱症状が現れ、それを回避するために頓服薬を服薬する精神的な脆弱性も併せ持ちます。望むだけの効果を得ようとするため服用回数や量が次第に増え、同じ量では効果が弱まり、耐性化した薬物が有害な結果をもたらします。特に病院で処方されるエルゴタミン製剤、トリプタン製剤、風邪薬を含む解熱鎮痛薬、あるいは薬店で容易に買えるカフェイン含有頓服薬の頻回の服用は薬物中毒をきたしやすくなります。原因は多量の薬物による疼痛感受性の亢進や疼痛閾値の低下、耐性の出現であり、ごくわずかな身体的・精神的ストレスで頭痛が頻繁に出現することになります。治療対処法は断薬が一番で、頭痛悪循環の中断できる専用の予防薬などに変更します。中毒症状が消失し、また身体機能が改善するまでには1ケ月以上を要します。更に頭痛の誘因となる長時間のワープロ作業など、上肢を伸ばした動作を避け、頭痛体操などで頸肩部筋群の力を抜くことを訓練することも治療の一つになります。

●どこへ行けば診てもらえるの?北海道・全国の頭痛の名医たち



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26才のOLです。2年前からパソコンを使う仕事を始めました。半年ほど経ってめまいやふらつき、動悸などが起こるようになりました。パソコンを使うせいでしょうか?何か脳に悪いことが起きているのではないかと悩んでおります。
テクノストレス症候群(VDT症候群など)に相当しますが、重症の方は頸部椎間板ヘルニアなど頸椎の異常を合併していることがあります。治りにくい場合は受診して下さい。

 私達のまわりにはパソコンをはじめ、ワープロ、テレビゲームなどVDT(Visual Display Terminal)がいっぱい存在します。そんな中、VDT作業に起因する眼精疲労や身体の異常、イライラなどを訴える『テクノストレス』患者が急増しています。VDT症候群は、疲れ目による充血やかすみ目、視力低下が主体ですが、身体各所の筋肉痛、手指のしびれ、胃痛や食欲不振、便秘、イライラや不眠、抑うつといった症状へ発展します。VDTの仕事は、視線が常に画面とキーボード、書類の3カ所を移動するので疲れやすく長時間、画面に集中すると、まばたきの回数が普段の1/4まで減り、ドライアイとなり、目に負担がかかります。また、長時間同じ姿勢をとることは、首、肩、腕、腰などの痛みの原因となりますが、頚部椎間板ヘルニアなどを併せ持つ首の弱い方は容易に全身の変調を来します。予防法は1時間ごとに10分程度の休憩をとり、遠くの景色を眺めながら、全身のストレッチを行い首から肩を中心に脱力、抜重の練習をします。人間の大脳の緊張を維持できる生理的能力は、たかだか30分程度ですので、小休止が充分にとれる方は症状も出にくくなります。デスクワークの姿勢も大切です。左図のように(1)首を心もち前傾し、(2)肘をほぼ90度に保ち、(3)両腕はほぼ水平にし、(4)大腿の上面を水平にして、(5)下肢は直角にするという5つが改善のポイントです。首や肩の痛み、腰痛など身体の痛みは、軽度であっても慢性化すると精神的ストレスが多大となります。頸部椎間板ヘルニアなど頸椎の異常がある場合は専門的な治療を優先しますので専門の病院受診をお勧めします。


参照:日本人間工学会ノートパソコン利用の人間工学のガイドライン(1998年労働科学研究所発行)
・ディスプレイの角度は、やや見下ろすようにセットし、目からの距離は40Cm以上離す。
・ディスプレイの照度、明るさと周囲の照明を適度に調節し、ディスプレイの反射を押抑える(300〜1000ルクスが目安)。
・パソコンの作業時間は、1日最大6時間を目安とし、1時間ごとに10〜15分の休息をとる。
・目からの視対象(画面、原稿、キーボード)までのそれぞれの距離が大きく異ならないようにする。

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主婦で36才です。最近、左側の耳鳴りがひどいので脳神経外科を受診したところ、脳動静脈奇形と診断されました。治療法を教えて下さい 。
脳動静脈奇形(AVM)は若い頃から耳鳴りの原因になります。破裂してクモ膜下出血や脳内出血が起こることもありますので適切な治療を要します。

 脳内血管の異常である脳動静脈奇形(cerebral arteriovenous malformation)は胎生早期の第3過に発生する先天性奇形で、30歳前後の若年者に多発する傾向があります。大小さまざまな異常動静脈間に直接吻合が生じ、異常な血管塊(ナイダス)を形成する病気です。AVMは新生腫瘍ではありませんが、ナイダスは徐々に大きくなって破裂し、クモ膜下出血や脳内出血になることがあります。AVMによる脳内出血の障害や死亡の割合は20%前後ですが、片麻痺や失語症など重度の障害を残すことが問題になります。頻度は高くありませんが、眼窩、側頭部などで心拍に一致した耳嶋り様の雑音を聞くことがあり、精神的な苦痛を覚えます。他に加齢に伴い早発性認知をきたし易く、難治性けいれん、精神症状、片頭痛様の頭痛などを生ずることもあります。

 治療はガンマーナイフと外科的手術、血管内手術の三つが中心です。ガンマーナイフによる手術は最も安全で成功率の高い治療法です。ただし完全治癒までに1ないし2年以上を要すること、更にナイタスの直径が3cmを超えると効果が不完全になるなどの欠点があります。外科的には全摘出術が推奨されており、AVMが適切に摘出されると、永続的麻痺の起こることは少なくなります。特に大きなAVMで、多くの流入動脈を有する場合、正常潅流圧突破現象(normal perfusion pressure breakthrough)を防止するために出血が少なく、血管の確認が容易である段階的手術が望ましく、4〜8週の間隔をおいて手術を実施します。他に上記の二つの治療が困難な場合は流入動脈を塞栓する血管内手術も実施され、症例により治療法の選択が可能です。


写真は36才女性のAVMの脳血曽嬬影、左前頭葉に直径4mのナイタスを認め手術にて完全に摘出することが出来ました。

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